椎名林檎と桑田圭祐

最近,椎名林檎を聴いている.
デビュー当時から頭の片隅にはずっと居て,いつかちゃんと全部聴かなければと思っていたのだが,たまたま「Electric Mole」なるライブ映像を見る機会があり,それがきっかけになった.
椎名林檎というと,エキセントリックでまた温故知新的センスを感じさせる歌詞や,巻き舌を初めとする独特の発声法に目が行きがちだが,それ以上に僕が感じるのは確固たる音楽的バックグラウンドだ.彼女ほど伝統的JazzらしいJazzを歌うことの出来る日本人を僕は他に知らないかもしれない.

そういう視点に立つと,椎名林檎と桑田圭祐はとても似ているという言い方も出来るかもしれない.どちらも歌詞・作曲・歌い方など独自の音楽世界を構築しているが,それをいったんやめて,「典型」を踏襲した時の巧みさには目を見張るものがある.桑田圭祐で一番それを感じさせられたのはYOICHI MURATA SOLID BRASSのDECADEにゲスト参加して歌ったCrosstown Trafficだ.
最高にクールなスイングのブラスバンドJazzをバックに,桑田圭祐の自由なヴォーカルが踊る.上手い,上手すぎる.


ピカソは幼少時にプロ顔負けの写実画を描いていたが,成長と共に写実画をやめてしまった」というエピソードを引用したくなる.