サマーウォーズ感想

同じスタッフ布陣の第一作「時をかける少女」がイマイチだったし,友人が微妙だと言ってたから劇場行かなかったんだけど行っとけばよかったと後悔.
名作だった.
特に際立ってのは以下の三つ .

「洒落」

おばあちゃんが電話帳を神業のように繰って黒電話で旧知の知り合いに電話をする,そこに流れる無数の手紙や写真たち…
あるいはSX-9の電源供給に漁船持ってきたり,さらにネットに自衛隊の衛星単一可搬局装置*1持ってきたり,衛星落ちたところに温泉湧いたり,一々ギミックに凝っている.
いいね,神は細部に宿る.

「日本」

それは記号的な田園風景やお屋敷,アサガオや食卓に並ぶ日本酒などの溢れるような「背景」だったり,
それはお風呂・授乳シーンや会話の微妙な掛け合いににじみ出る「家社会」だったり,
粗にして漏らさないような「古き良き日本」のポイントを押さえた描写が素晴らしい.
こういう映画が永遠に残っているならば,日本が崩壊しちゃってももういいやーという泰然自若な心構えが生まれた.

「インターネット」

人と人との関係性においてインターネットが引き起こしたこと,これから起こるであろうことの本質を制作側がよく捉えているように見えた.

最初はよくある「リアルが大事!ヴァーチャルは悪!」っていう主張が背後にある系かと思って多少ウンザリしながら観ていたのだが, 最後はそのテーゼとアンチテーゼをアウフヘーベンさせて,今Twitterとかで実際に起きている「結局ネットも人間社会であり,しかしネットはそれを質・量ともに指数関数的に加速させて行く」という状況への非常に現代的あるいは未来的な洞察が感じられる.
しかもそれを映画らしくドラマティックに魅せるシーンに昇華させた!
確かに,機械同時翻訳システム出来たらさらに飛躍的にリーチが伸びて世界が変わるのかもなあ.楽しみだ.


以下雑感

  • NEC SX-9にブラウン管ディスプレイ持ってくる辺りは情報屋さん的視点で見ても「ほうほうよく勉強しとるわい」と思って笑みを零しながら見てたけど,その最強構成にDELLのキーボードを差した時点で一気に失望させられた・・ この辺が「アマチュアさんの想像するプロ」の限界なのかもしれない.
  • 数学屋さん的には最初に「Shorの因数分解アルゴリズム」とか出しちゃって期待させられたのに後は全然数学の出番なくてご愁傷さまですって感じかなwいやーしかし主人公の数学ヲタっぷりがとてもかっこよく描かれている.がしかし,これで机に齧り付いている哀れな恋愛弱者,日陰者の我々理系男子が脚光を浴びるかといえば,まあそんなことは無いんでしょうね,と冷笑一つ.
  • 日本酒「純米酒 牧水」と「御園竹 大吟醸」が食卓に上がってた.蔵元の武重本家酒造株式会社がスポンサーだったのかな?ヱヴァンゲリヲンの時は獺祭が度々登場してたのも記憶に新しいが, しかし,これどんぐらい宣伝効果あるのかとww多分観た人の1%もそんなところに目がいってないんじゃないかと思う.
  • 花札ってそんなに戦略要素あるんですか?
  • あねどきっ! 女子高生の先輩が欲しい(わりと切実に) 中学時代可愛がってくれた女の先輩とか,今でも思い出すと頬が紅潮する想い…それが高校だったらさらに・・と想像すると・・ 高校男子校行ってしまったのは後悔してないけど…うわあ
  • 声優に俳優起用系のこの独特な感じはもう一つのジャンルとして慣れた. だがそれがいい
  • 冒頭いきなりntrとか最近の作品はすごいなあ.

*1:ここに詳しい